2022年4月に『プラスチック新法』が施行され、無償提供されているコンビニのプラスチックスプーンやフォーク、ホテルのアメニティが一部有料化します。
ビニール袋の有料化でさえ不便で仕方ないのに、なぜ他のプラスチックまで有料化の対象になってしまうのでしょうか?
プラスチック有料化のデメリットや、なぜ『脱プラスチック』が加速しているのか、世界規模で見るとどんな取り組みが行われているのか、など調べてまとめてみました。
(アイキャッチ画像出典元:https://www.packstyle.jp)
プラスチック有料化はデメリットだらけ!

今まで無料だったものが有料になると何かと手間が増えるのは、レジ袋の有料化で痛感しました。
今回の『プラスチック新法』により、私たちの生活にはどんな影響があるのでしょうか?
店員との会話が増える
これまでは「レジ袋は有料となりますがご入用でしょうか?」であったり、店員によっては渡す前に「レシートはいかがいたしましょうか?」という、やりとりだけでした。
これからは購入した物によっては、何度もその確認が必要になります。
- 紙パックの飲料は『ストロー』の確認
- 弁当を購入した際は『プラスチックスプーン又はプラスチックフォーク』の確認
これらすべて必要になるかもしれない買い物をすると
有料となりますが、お飲み物にストローは入用でしょうか?

有料となりますが、お飲み物にストローは入用でしょうか?



お弁当にも有料となりますが、スプーンをお付けいたしましょうか?



レジ袋は有料となりますがいかがいたしましょうか?
ようやく対応を終えて、レジから離れようとすると最後にこう声を掛けられるかもしれません。



あ、お客様、レシートはどうなさいますか?
働いているスタッフも確認事項が増えて、お互いに大変になるかもしれませんね。
購入意欲が下がる
コンビニで弁当を購入した際に、スプーンが必要ならスプーンを、フォークが必要ならフォークを有料で購入することになりますよね。
それだけでも手間なのに、デザートを買ったら更にスプーンのお金が掛かって面倒になり、「今日はやめておこう」と購入を迷うことが増えるでしょう。
実際にレジ袋が有料になってから、「余計なものを買うのをやめた」という声が増えました。
実際に筆者も弁当の友になるはずのデザートや、何気ない時間に摘まむお菓子の購入も以前よりかなり減りました。
やはり今まで無料のものが有料となると、無意識に考えてしまいますよね。
店側も単純に客単価が落ちる可能性が高いですよね。
消費者に負担を強いられる
塵も積もれば山となるということで、毎度毎度プラスチックスプーンやフォーク、レジ袋を購入していたら金額もばかにならないですよね。
かといって「マイスプーン」や「マイフォーク」では衛生面での危険性があります。
7時間程度放置すると、スプーンやフォークに付着した菌の量が排水溝の菌の量と同じ程度になってしまう可能性があります。
温度や湿度によっても変化しますが、ただ洗うだけでは菌が落ち切らないこともあるので怖いですね。
マイスプーンやマイフォークを持ち歩く場合は、必ず食後に洗うか、洗える環境にある場合にした方がよさそうですね。
- 金銭的な負担
- 衛生面の負担
という点で消費者である我々の負担ばかりが増えていくような気がして、不満が募るのもわかります。
なぜ、デメリットを抱えて有料化に動き出す?
レジ袋有料化、プラスチック有料化が推進されてから日常生活には不便が増えます。ではなぜ今、デメリットを抱えながら有料化に動き出すのでしょうか。
ぼんやりと環境問題が原因であることは察しがつきます。
では私たちが暮らす地球ではプラスチックによってどんな環境問題が考えられて、今世界ではどんな取り組みが行われているのでしょうか?
簡単にまとめていきたいと思います。
スポンサードリンク世界はとっくに脱プラスチックへ舵を切っていた!?


実は世界各国は数年前から『脱プラスチック』へ動いています。
インド
インドでは2018年に6種類の使い捨てプラスチックの使用が禁止され、最終目標として2022年に使い捨てプラスチックの使用を全廃を掲げています。
ある州ではビニール袋を使用した場合、4万円の罰金が科されることがあるくらい、ビニール袋やプラスチックの規制が厳しいです。
日本で過ごしていると、ビニール袋を使用して4万円の罰金なんて想像もつかないですよね。
台湾やベトナム
台湾でも2019年からプラスチックストローの使用規制、ベトナムでは廃プラスチックの輸入規制など世界全体を巻き込んで脱プラスチックへのアプローチが始まっていました。
やはり数年前からプラスチックに関して問題視されており、緩和における対応は日本よりもかなり早いですね。
EU(欧州連合)
欧州連合は2030年までにプラスチック包装を再生利用可能、または素材として活用する『プラスチック戦略』を打ち出しています。
2022年現在、EU加盟国はイタリア、オランダ、ギリシャをはじめ27カ国が加盟国となっているので、この27カ国は足並みそろえて環境問題へ取り組んでいるわけですよね。
私たちはまだまだ地球温暖化や環境問題を身近に感じながら生活を送っているとは言えないと思いますが、世界はここまで大きなスケールで動いています。
アフリカ30カ国
アフリカ大陸54の国のうち30カ国では、すでにプラスチック袋規制が導入されています。
ケニアやルワンダではプラスチック袋を使用すると罰金刑や禁固刑に科される可能性があり、インドの規制と同じ厳しさがあります。
おそらく世界的にも部分的にプラスチックの使用規制の法律が施行されていくのではないかな、と個人的には思ってます。



さすがに禁固刑は重過ぎるなあ・・・
日本の『脱プラ』はかなり遅れている?


世界と比較してみても、日本のプラスチックゴミ排出量は2010年でさえ5位の不名誉ですが、2019年には4位と順位を上げています。
ここ10年は必ず5以内のポジションを不動のものとしていますので、世界からも『日本は環境問題への関心と取り組みが悪い』という声も上がりやすくなっています。
実際、日本で中心的に取り組まれているリサイクル方法は焼却してリサイクル率84%を謳っていたり、世界で第3位の廃プラスチック輸出国となっています。
根本的に『リサイクルできている』とは言いにくいですよね。
海洋汚染が生物にも影響を与える!?


これだけ世界が足並み揃えて『脱プラスチック』へと勢いづけるのは前述した通り、環境問題が原因となっています。
世界全体で年間800万トンを超えるプラごみを排出していますからね、汚染なんてレベルはとっくに超えているのかもしれません。
このまま何らかの対策を講じないまま、プラごみを排出するとどうなるのでしょうか?
プラごみが魚の量を超える日も近い
具体的には2050年には海洋中のプラごみの量が魚の数を超えると言わています。
日本では1960年代以降からプラスチックが多用されてきましたが、まさか100年足らずで魚の量を超えるプラスチックを排出いるわけですからね。
46億年もの気の長い歴史の中のたった100年です。恐ろしいものですね。
クジラや魚の死骸からプラスチックが検出
人間の海洋汚染を顧みなかった代償として、一番に被害を受けるのはその環境を生活圏としている生物達です。
そして海で暮らす生き物たちは人間よりも早く、有害なプラスチックの影響が出てしまいます。
砂浜に打ち上げられたクジラの胃からプラスチックが見つかったり、魚が餌と間違えてマイクロプラスチックを食べてしまう可能性があり、海の生物はプラスチック被害に遭い始めています。
『マイクロプラスチックとは』:粉砕されて出来た直径5㎜以下のプラスチック
人体への影響が未知数?
もしも長い歳月をかけて魚が餌としてプラスチックを食べて、その体内の摂取濃度を高めてしまったら?
そしてその魚を食べてしまった人体への影響はどのようなものがあるのでしょうか?
実はまだ、人体への影響が具体的にわかっているわけではありません。
だからこそ、科学者を筆頭に世界中が危険視しています。プラスチックは自然界に発生していたものではなく、人間が人工的に作り上げたものです。
自然界に元々ないものの影響は未知数過ぎてそもそもの影響が想定できないようですね。
ただ、一つの仮説としては以下のようなものがあります。
- 魚が大量のプラスチックを食べる
- 鳥がその魚を食べて卵を産む
- プラスチックの影響で卵の殻が薄くなる
- 外敵に卵が襲われやすくなり、衝撃にも弱くなる
- 卵から雛が孵る数が減少する
- 鳥が減ることによって虫が増える
- 生態系が変わり、様々な問題が増加する
こういった現象が比較的近い将来に起こるのではないと言われています、怖いですね。
まとめ
今回はプラスチックの有料化のデメリットとなぜ有料にするのかについてまとめてみました。
今、世界全体として環境問題へと取り組んでいかなければ、そう遠くない未来の私たちや、私たちの次の世代の生活が大きく変わってしまう可能性があります。
便利な生活から一転不便を感じることも多々あるかもしれませんが、少しずつ私たちが暮らしている地球の環境問題へ目を向けていく時なのかもしれませんね。
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